生前相続対策
相続で発生する争いや、多額の相続税や納税資金不足といった問題は、生前に対策を立てることでほとんど解決できます。相続対策には、遺言書の作成や生前贈与、相続時精算課税の特例活用、資産の組み替え、生命保険の活用などがあります。ただし、個別の対策を単独で行なっても効果的ではありません。家族の状況や相続税の目安を把握し、それに基づいて複数の手段を組み合わせた対策を行うことが重要です。
POINT
- 相続トラブル防止:遺言作成など、相続トラブルを未然に防ぎます。
- 税負担軽減:生前贈与や生命保険を活用し、相続税を軽減します。
- 円滑な相続:ご家族が円満に相続手続きを進められるようサポートいたします。
相続税申告
相続に関するご相談
相続を争族にしないためには、相続税の申告業務だけでなく、財産や家族構成、現行の税法をもとに問題点を洗い出し、適切な相続対策を提案することが重要です。相続が争いごとになる前に、まずはお気軽にご相談ください。
相続対策
生前の相続対策は、現在の資産状況や税法に基づいて行いますが、相続発生時の経済情勢や税制改正によるリスクも考慮する必要があります。そのため、長期的に無理のない対策を講じることが重要です。
節税対策例
・贈与税の基礎控除(110万円)を利用して、相続人に毎年少しずつ財産を贈与する。
・婚姻期間20年以上の配偶者に対し、居住用財産を2,000万円まで無税で贈与する特例を活用する。
・遊休地にアパートを建築し、財産価値を減少させる(貸家建付地の評価減や貸家の評価減)。
納税資金対策例
・相続税が一定の金額まで非課税(500万円×法定相続人)になる生命保険に加入する。
※相続対策に適した保険は「終身保険」です。
・遊休地にアパートを建築し、家賃収入(現金)を得ることで積極的な資金対策として活用する。
遺産分割対策例
・遺贈(遺言によって他人に財産を無償で与える)や死因贈与契約(贈与者の死亡により効力が発生する契約)を活用する。
・安全で確実な公正証書遺言を作成する。
・遺留分(相続人に保証された最低限の取り分)を考慮して遺産分割協議を行う。
相続発生から相続税申告までの流れ
相続が発生すると、故人の財産を調査し、遺産分割を進めたうえで、相続税の申告と納付を行う必要があります。
相続税の申告期限は、相続が開始された翌日から10カ月以内です。適切な手続きを踏むことで、申告や納税をスムーズに進めることが可能です。
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1相続開始
被相続人の死亡。
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2死亡届の提出
死亡日から7日以内に死亡診断書を添付し、市区町村長に提出。
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3葬儀費用の整理
領収書などを整理し保管。
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4遺言書の確認
遺言書があれば家庭裁判所で検認を受けて開封(公正証書遺言は検認不要)。
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5戸籍謄本の取り寄せ
被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取得し、相続人を確定。
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6遺産・負債の把握
遺産と負債の概要を把握し、相続放棄または限定承認を決定。
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7相続放棄または限定承認の申立て
死亡日から3カ月以内に被相続人の住所地を所轄する家庭裁判所に申し立て。
※相続放棄:被相続人の財産の一切を放棄すること
※限定承認:相続財産の範囲内で債務を弁済する条件で財産を受け継ぐこと(相続人全員の同意が必要) -
8所得税の申告納付
死亡日から4カ月以内に準確定申告として被相続人の住所地を所轄する税務署に提出。
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9遺産・債務の評価
遺産と債務を確定し、相続税法に基づいて評価や鑑定を実施。
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10遺産分割協議書の作成
相続人全員の実印と印鑑証明書を用いて遺産分割協議書を作成。
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11相続税の申告書作成
相続税の申告書を作成し、納税資金の準備。
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12相続税の申告納付
死亡日から10カ月以内に被相続人の住所地を所轄する税務署に申告納付。
税務調査立ち会い
相続税の申告後、税務署は申告漏れがないか調べる税務調査を行います。この調査は、申告した年または翌年の秋頃に行われることが多く、8割以上で申告漏れが見つかっています。
特に現金や預貯金での申告漏れが多く、一件あたりの平均は700万円にも上ります。意外にも、相続財産の約60%を占める土地よりも、現金や預貯金での申告漏れが多いというデータが出ています。
相続税の税務調査は、専門家である税理士に依頼することで、以下のメリットがあります。
不当な税金の請求を防ぐ
税理士が専門知識と経験に基づいて、税務署との交渉を行い、過剰な税金の請求を防ぎます。
精神的な負担を軽減
税務調査は、相続人のプライバシーに関わる内容を問われることが多く、精神的な負担が大きいです。税理士が代わりに対応することで、相続人の負担を軽減します。
時効の主張など、有利な主張を展開
税法にはさまざまな抜け穴や解釈の余地があり、税理士はこれらの知識を駆使して、相続人のために有利な主張を行います。