相続手続きについて
葬儀から7日以内に行う手続き
死亡届の提出
・死亡届は死亡診断書(死体検案書)が同一の用紙に記載されているA3サイズの書類になっています。
・届出者は親族、同居人、家主、土地の管理者の順番で届出の責任義務を負いますが、順番に関係なくその内の誰が提出しても構いません。
・届出人の印鑑は認印可(実印である必要はありません)
・提出先は、死亡者の本籍地、亡くなった場所又は届出人の住所地の市区町村
・提出期限は死亡の事実を知った日から7日以内
火葬許可書の発行
死亡届を提出、受理されるとその市区町村から火葬許可書が発行されます。火葬する際に必ず必要になります。
相続の発生
死亡届が市区町村に提出、受理された時点で死亡者の財産は遺産となり相続が開始されます。
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遺言書について
遺言の書き方にはルールがあります。
遺言の内容は遺言者が自由に決められるため相手方の承諾などは一切必要ありません。また生前中に遺言の全部又は一部を修正することも自由です。ただし、遺言は死後に効力を発生するため遺言による争いなどを防止するため法律により一定の方式に従って作成しなければなりません。
遺言の種類
・民法で定める遺言の種類は大きく分けると普通方式と特別方式のに分類されます。
普通方式の遺言 (普通方式の遺言はさらに3種類に分類)
|-自筆証書遺言-公正証書遺言-秘密証書遺言
特別方式の遺言 (特別方式の遺言はさらに4種類に分類)
|-死者危急者の遺言-伝染病隔離者の遺言-在船者の遺言-船舶遭難者の遺言
普通方式の遺言について
・自筆証書遺言
遺言者本人が自筆で書き押印する方法により作成する遺言です。
費用もかからず形式さえしっかりしていれば簡単に作成できるうえ、証人もいらないです。
形式に不備があると遺言自体が無効になる危険性があり、保管場所があやふやになり紛失の恐れもあります。
相続の開始を知ったあと家庭裁判所の検認が必要になります。(勝手に開封してはいけません)
・公正証書遺言
遺言者が公証人に遺言内容を口述した内容を公証人が筆記する方法により作成する遺言
形式不備により無効となることはありませんし、紛失や偽造の心配もありません。家庭裁判所の検認も不要となります。
遺言手続き時に証人が2人以上必要なため遺言内容を完全に秘密にできない可能性があります。
公証人の手続き費用がかかります。
・秘密証書遺言
遺言者本人が自筆証書遺言の方法により作成した遺言を封筒に入れ封印し、公証人に証明してもらう方法により作成する遺言
公証人の証明時に証人が2人以上必要になります。
この方式は、遺言の内容を秘密にしたまま確実な保管ができます。
遺言により法的効力がある事項
1.財産処分(遺贈、寄付行為、生命保険金の受取人指定)
2.子の認知
3.推定相続人の廃除とその取り消し
4.後見人、後見監督人の指定
5.相続分の指定、その指定の委託
6.遺産分割方法の指定、その指定の委託
7.遺産分割の禁止
8.相続人相互の担保責任の指定
9.遺言執行者の指定、その指定の委託
10.遺贈滅殺方法の指定
(ただし1から3の事項については生前行為においても可能です。)
遺言の効力発生時期
遺言は原則として遺言者の死亡の時からその効力が生じます。
遺言書の保管方法
特に法律では決められていないため、自筆証書遺言の場合には紛失しないように保管場所を考慮する必要があります。貸金庫などの利用も考慮すると良いでしょう。
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裁判所の検認手続き
遺言書の家庭裁判所での検認手続きについて
検認とは遺言書の偽造や変造を防ぐために家庭裁判所にその内容を確認してもらう手続きです。
遺言書を発見した場合には速やかに被相続人(故人)の住所地を所轄する家庭裁判所に遺言書を持参し申し立てを行いますので封印のある遺言書を発見した場合にはその場で開封してはいけません。
仮に勝手に開封してしまっても遺言書の効力は無効にはなりませんが過料(行政罰による罰金)の対象になってしまいます。
検認手続きは証拠保全のためであり、遺言内容の真否や効力の有無を判定するものではありませんので、検認後でも遺言内容について争うことはできます。
公正証書遺言については公証人による記録が残されているので検認手続きは不要です。
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相続人の確定
相続人を確定するには
相続人を確定するために戸籍調査を行います。
調査方法は被相続人(故人)が生まれたときから亡くなるまでの連続した『戸籍謄本』、『除籍謄本』、『改製原戸籍謄本』を取り寄せて相続人を確定させます。
また、これらの謄本は相続人を証明する書類として相続税の申告や財産の名義変更時の添付書類として必要になります。
・戸籍謄本 1通450円 :
戸籍とは夫婦とその子供を単位に作成され本籍地の市区町村に原本が保管されています。
・除籍謄本 1通750円 :
戸籍に記載された全員が除籍された場合には除籍簿として別途保管されます。被相続人が最後の除籍者である場合には取り寄せる必要があります。
・改製原戸籍 1通750円 :
戸籍簿は何度か作り替えられています。作り替える際には除籍された人の記載はありませんので作り替える前の古い戸籍(改製原戸籍)も必要になります。
謄本の請求場所は本籍地の市区町村になります。
請求方法は市区町村の戸籍担当窓口または郵送により請求できます。
請求できる人は戸籍に記載されている人や直系親族の方になります。
代理人が請求する場合には本人の委任状が必要となります。
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相続財産の調査確定
相続財産の調査をするには
相続財産のうち資産となるものと負債になるものを調査します。
調査した結果を財産目録(一覧表)にまとめておくと遺産分割時や申告時に役立ちます。
調査方法は、土地建物の場合には登記簿謄本、預貯金は銀行などの残高証明書、その他契約書などにより調査していきます。
・資産となるもの(プラスの財産)
土地、建物、事業用財産、預貯金、有価証券、家庭用財産、その他ゴルフ会員権などの財産、死亡保険金、死亡退職金、相続開始前3年以内の贈与財産
・負債となるもの(マイナスの財産)
銀行借入、営業上の未払金や買掛金、カードローンなど
負債が資産を超える場合には限定承認・相続放棄を考慮する場合もありますので相続財産の調査確定はなるべく早く行うようにしましょう。
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相続放棄・限定承認
相続放棄・限定承認とは
相続財産の調査の結果資産より負債の金額が多い時は、相続人は相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄・限定承認を申述することで多額の負債を相続することを避けることができます。
・限定承認
相続財産を限度として債務を弁済し、まだ相続財産が残る場合にはその分を相続します。
例:相続財産100-債務120≦0 ∴相続する額 0
例:相続財産100-債務 80=20 ∴相続する額 20
相続財産と債務のどちらが多いかわからない時や相続放棄すべきか判断がつかない時は限定承認を検討するのもひとつの方法です。
限定承認は相続人全員の合意が必要となるため反対者いる場合には行えません。
・相続放棄
相続財産・債務のいっさいを相続しないことをいいます。
明らかに債務の金額が多額である場合には、相続放棄を検討するのが良いでしょう。
相続放棄は相続人1人でも手続きが可能です。
(注意)限定承認・相続放棄は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に手続きをする必要がありますので、この期間を過ぎてしまうと単純承認となってしまいます。
ただし、家庭裁判所に申し立てることにより熟慮期間を伸長することもできます。
・単純承認
相続財産・債務のすべてを相続することをいいます。この場合には相続債務を相続資産によって弁済できない場合には、相続人が自分の財産をもって弁済することになります。
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準確定申告書の作成
準確定申告とは
被相続人(故人)が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を税務署に申告することです。申告書の様式は通常の確定申告書と同じになります。
また前年の確定申告をしないで亡くなった場合には、その申告分もあわせて行います。
準確定申告書の申告期限は相続の開始後4ヶ月以内に申告します。
提出場所は被相続人の住所地の税務署に各相続人が連署して申告します。相続人が別々に申告することも可能です。
納付した所得税は相続財産から控除できます。反対に所得税が戻ってくる(還付)場合は相続財産に加算します。
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遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
遺産分割協議とは
相続財産と相続人が確定した場合には、各相続人の取得分をそれぞれの事情を考慮しながら相続人全員で話し合いにより決定することです。
遺言書に具体的な分割方法や指定があるときは遺産分割協議は不要になりますが、内容に不服がある場合には遺産分割協議を行います。
遺産分割協議のポイント
・分割協議は相続人の全員が参加しなければなりません。
相続人の中に未成年者がいる場合には、未成年者の住所地の家庭裁判所へ申立て特別代理人を選任します。
・分割協議は相続人全員の合意によります。合意後の協議のやり直しは原則できません。
遺産分割協議がまとまらない場合
家庭裁判所へ申立て、調停または審判によって分割することになります。調停は、審判官と2人以上の調停委員の立会いのもと話し合いにより行われます。調停でもまとまらないときは審判により審判官が当事者の主張を受け分割方法の審判を下します。
遺産分割協議書
遺産分割協議が調った場合は、後の争いやトラブルを防ぐために証拠書類として遺産分割協議書を作成します。また財産の名義変更の際にも使用します。
遺産分割協議書の作成ポイント
・作成の様式は特に決まっていません。
・協議書には各相続人がどの財産を取得したかをわかるように記載します。
(例えば、預金口座の口座番号や不動産の地積や地番など)
・協議書には全員が合意したことを証明するため全員が署名し実印を押印します。そのため協議書には印鑑証明書を添付することになります。
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遺産分割・名義変更
遺産分割
遺産分割の期限は特に定められていません。ただし、相続税の申告期限が相続開始後10ヶ月以内であり相続税を軽減する特例を適用する場合には遺産分割がされていることが前提となります。
相続税の申告が必要な場合には、相続開始後10ヶ月以内に遺産分割協議により遺産分割協議書を作成しなければなりません。
名義変更
遺産分割協議が調ったら協議書に従って財産を取得者に名義変更します。
名義変更手続きは期限は決まってませんが速やかに名義変更しましょう。
主に名義変更が必要な財産
・不動産 ・自動車 ・預貯金 ・株式 ・ゴルフ会員権など
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相続税の申告・納税
相続税の申告・納税
相続の発生後10ヶ月以内に相続税の申告書を被相続人(故人)が死亡時に住んでいた住所地を所轄する税務署に申告・納税しなければなりません。
仮に遺産分割がまとまらなかった場合は、法定相続分により財産を分割したものとして相続税の計算をして申告・納税することになります。
この場合、相続税の税額軽減の特例は使用できません。
その後に遺産分割協議が調ったときに修正申告または更正の請求(税金を返してもらう手続き)をします。
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星野太志
公認会計士、税理士、第1種情報処理技術者
- S46.08.22生まれ O型
- 性格:合理主義(多分実際は機能主義)をこよなく愛する 型
- 趣味:読書(主に歴史・物理、その他人文科学をのぞく全般)
星野雄次
税理士
- 目標を定め誠実に努力する。必ず目標を達成出来る。
玉造照夫
税理士、AFP
- S54.5.8生まれ A型
- 自転車が大好き!!
- 週末は愛車のロードバイクでサイクリングやレースに出場したりしてます。時々、マウンテンバイクを乗りに山にも行っちゃいます。